首都直下地震 見逃された危機

(高橋)<信じられなかった><28階の私のオフィスは変わり果てていた。マグニチュード7.3の大地震だった><窓の外には目を疑うような東京の姿。安全だと思っていた超高層ビルも危険と無縁ではなかった><東京では人や企業の集中が加速していた。超高層のビルやマンションは5年で4割も増え1,000棟近くに達していた。そこを地震が襲ったのだ>(田中)課長。何?東京って高いビルが随分増えましたよね。そうだなあ。それにしても地震の多い国なのに大丈夫なんですかね?大丈夫だよ。超高層ビルは耐震性が高いっていうじゃないか。地震で倒れるってことはまずないと思うよ。そうですよね。うちもこんな最新のビルに引っ越せてホントよかったですよ。それはそうと例の新製品の件アメリカとの契約はどうなってる?<今日は娘の誕生日だ。早く帰ろう>(コーヒーカップが揺れる音)(悲鳴)(うめき声)田中!大丈夫か?大丈夫か?課長…。誰か手を貸してくれ!(悲鳴)早く逃げろ!逃げろ!早く!おい!どけ!出してくれよ!おい!出せ~!どうなってんだよ!うう…。いいかちょっと待ってろ。(通話中の音)<思いも寄らなかった事態。これが首都直下地震だった>今後30年間に70%の確率で起きるとされる首都直下地震。ご覧いただいたドラマは国の想定と最新の研究に基づいて超高層ビルの被害を描いています。今から5年前国は首都直下地震の被害想定をまとめていました。(衝撃音)揺れや火災で失われる建物は85万棟。死者は最大で1万1,000人。しかし予測が難しいとして考慮されていなかった被害がありました。それが超高層ビルの被害です。首都直下地震による超高層ビルの揺れを初めて検証した実験。多くのけが人が出るおそれがあることが分かりました。更に見逃されてきた2つの危機があります。その一つは日本経済が停止する危機です。大企業の4割が今本社を東京に構えるようになっています。かつて国が想定した経済被害は総額112兆円。しかし想定を上回る被害が予想されています。東京への本社機能の集中が経済を停止させる危険性を高めているからです。もう一つの見逃された危機。それは膨大な数の被災者が避難所に入れないことです。国は60万人が入れないと想定。その数が更に増えるおそれがあることが分かってきました。原因は帰宅困難者です。交通機関が止まり取り残された人たちが避難所に押し寄せるのです。多くの人が最低限の生活すら続けられなくなる危機に直面します。東京に人や企業が集中してきた中で見逃された首都直下地震の危機。最新の研究と取材の現場から明らかにします。東京の超高層ビル。首都直下地震で想定されていなかった危険性が分かってきました。今もビルが増え続けている東京・新宿区。超高層ビルの危険性を指摘する専門家がいます。新宿にある工学院大学の久田嘉章教授です。国が想定するマグニチュード7.3の首都直下地震で超高層ビルがどのように揺れるのかシミュレーションしました。新宿に実在する28階建てのビルです。新宿付近の揺れは震度6弱。最上階の28階では震度7に相当する猛烈な揺れとなります。超高層ビルは地震による倒壊を防ぐためしなやかな構造になっています。上の階ほど揺れが大きくなるのです。首都直下地震で超高層ビルの室内がどう揺れるのか実験しました。大きな揺れを起こすことができる最新の装置です。この装置によって初めて首都直下地震の揺れを検証することができるようになりました。28階の揺れです。固定されていないロッカーが人形を直撃。人形は机との間に挟まれました。特殊なカメラで動きを分析しました。コピー機は1秒間に2m動いていたことが分かりました。重さは70kg。当たれば大けがをします。目の前に見せられると全然迫力が違いますね。対策をとってないと転倒防止ですとか間違いなくけがを…たくさんのけが人が出てしまう可能性はありますね。超高層ビルの室内では対策がとられていなければ多くのけが人が出るおそれがあることが分かりました。(宮下)<超高層ビルではけが人の救助にも課題があることが分かってきました。7月新宿で企業などが首都直下地震に備える防災組織を発足させました。児島正さん組織を立ち上げたメンバーの一人です><児島さんの会社は超高層ビルの27階にあります><取り組みのきっかけとなったのは14年前に阪神淡路大震災を経験したことです><児島さんの周りではけが人が大勢出ましたが救急隊は来ませんでした><現在会社のビルには3,000人が働いています首都直下地震で多くのけが人が出ても救助が行き届かないのではないかと考えています>町全体が同時に被災しましたので消防の方も警察の方も全部はとても手が回らない。このビルにはすぐ助けにきてくれるかというと多分そういうことは考えられないと思いますので…。<自分たちだけでけが人を助けるにはどうすればいいのか。児島さんたちは救助の方法を学ぶことにしました>まさに皆さん自分の社内もしくは地域で被災した人たちをどうするのか。<多くのけが人が出た場合手当てが必要な重傷者を一刻も早く見極めることが大切です><オフィスで重傷者を捜し出す訓練に臨みます><停電した室内には軽傷者と重傷者がいます><呼吸の状態や歩けるかどうかなどを目安に救助の優先度を判断します>助けてくれ!助けてくれ!<男性が助けを求めてきました。自力で歩けるため児島さんは軽傷者と判断しました><ほかのけが人を捜そうとすると男性は追いすがってきました><本来なら重傷者に対応するためその場を離れるべきでした><声を上げることができない重傷者。結局すぐに駆けつけることができませんでした>演習であんな焦っていたら多分本番の時ってもっと焦ると思うんですよね。その時ホントに冷静な判断が私にできるかどうかと…。<地震直後人の命を救うための判断は非常に難しいことが分かりました><超高層ビルでは重傷者を見つけたとしても下まで運び出すのは大変です><地震でエレベーターが止まると非常階段を使って運ばなければならないからです><どれだけ時間がかかるのか検証することにしました><運ぶのは大人の男性を想定した75kgの人形です>じゃあ始めましょうか!(一同)はい。<27階から1階まで下ろします><階段の幅は1m20cm。6人で下ろすには幅がぎりぎりです><踊り場で向きを変えるのも簡単ではありません><急な階段を慎重に下りるため体力を消耗します><1階まで20分近くかかりました><地震が起きた場合には階段に大勢の人が殺到し更に時間がかかるおそれがあります><超高層ビルの階段

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