神戸電鉄粟生線存続の危機

乗客激減、存続か廃止か 神鉄粟生線 
 年間10億円以上の赤字が8年間続く神戸電鉄粟生(あお)線(鈴蘭台-粟生)が、存続か廃止かの岐路に立っている。「自力では維持が困難」とする神鉄の求めに応じ、沿線の神戸、三木、小野各市と住民代表などが昨年11月、同線の活性化協議会(会長=小林清豪・小野市副市長)を結成。今年4月から具体的な支援策を実施する予定で、利用者増に結びつくかが注目される。(金井恒幸)
 「少子高齢化などのため、ピーク時から乗客は半減した。ワンマン運転なども実施ずみで、人件費などのコストもこれ以上の削減は難しい」
 昨年12月11日、三木市役所で開かれた第1回協議会。神鉄の担当者がデータを示しながら、厳しい状況を説明した。
 神鉄によると、少子高齢化で、通勤・通学をする年齢の沿線人口が毎年1~1・5%程度減少。バスとの競合もあり、収入が落ち続けてきた。
 線路や駅舎の維持などの固定的な支出だけでも収入を上回り、駅舎無人化や社員の賃金カットなど企業努力を続けるが、赤字は拡大する一方。
 粟生線の赤字を補う他事業も収益が悪化、全事業の経常利益の黒字が1億円に届かない状況となり、同社は「年間10億円の赤字を抱える路線の維持が難しくなってきた」と話す。
 同社は再生計画に基づき、2004年度から国や県、沿線市から安全施設整備などに計約9億3千万円の補助を受けてきた。だが同計画が09年度で終わることや、これまでの支援では乗客増が望めないことなどから協議会発足を呼び掛けた。
 協議会は、07年に施行された地域公共交通の活性化・再生法に基づき、支援事業が認められれば国の補助が受けられる。1月中には支援の案を出して3月末までに具体策にまとめ、4月以降の実施を目指している。
 協議会事務局の小野市は昨年、粟生駅や樫山駅に住民が運営する飲食店やコミュニティー施設を整備。駅への愛着を持ってもらい、利用を促そうとしている。04年12月のJR加古川線電化の際には、同様の方法で乗客が増えた経緯がある。
 市の担当者は「市職員が率先して神鉄に乗るエコ通勤などを検討中。住民とともに存続運動を盛り上げたい」とする。
 客数の少ない昼間の車両減など効率的な運行を提案したいとする一方、沿線ハイキングなどの行事を神鉄と連携して行う方針だ。また、通学に同線を利用する県立小野高校生も危機感を持ち、活性化策を提言している。
 国土交通省によると、中小私鉄と第三セクターを合わせた全国92社の地方鉄道の経常収支(08年度)は、79%が赤字。廃線は2000年度からの10年間で30路線、計約635キロに上るという。
 協議会座長の土井勉・神戸国際大教授(都市政策論)は「鉄道は社会的インフラで、高齢者など車が運転できない人の移動手段として重要だ。行政の補助なしに鉄道を維持する国は少数。一度廃線になれば復活は難しい」と公的支援の必要性を指摘している。
(2010/01/21 11:30)

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